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(文中敬称略・2010年9月にブログに発表)

 シンガポールの首相の年俸は約2億4000万円だという(2007年のレート)。閣僚の年俸も1億円を越える。それに対して日米欧の首相や大統領の年俸は4000万円程度。都市国家のシンガポールは人口が約470万人で、福岡県よりも少ない。それを考えると、確かに異常に高い給与といえるだろう。

 このことに対する各国のマスコミの反応は、当然、これに対する批判である。アメリカの政府高官も匿名(とくめい)で「私もシンガポールに移住したい」などと皮肉ったという。しかし、私は()えて言う。「シンガポールの首相の給与はきわめて正常である。ほかの国の指導者の年俸が異常に少ないのである」……と。

 ある人間の職業における適正な収入というのは、何によって決まるのだろうか。基本的には、その仕事によって生み出された利益に対する貢献度である。これは、作家・芸術家・芸能人・スポーツ選手、あるいは自営の医師や弁護士、税理士などの場合はわかりやすい。作家や画家は作品が売れれば、その額に比例して収入が増える。芸能人やスポーツ選手は人気が出たり活躍したりすれば、当然それにつれて高額所得者となる。「彼らは自分の好きな仕事をしているのに、庶民に比べて桁違(けたちが)いの報酬を得るのはけしからん」などと言う人はほとんどいないだろう。その能力と努力によって多大な利益を生むことに貢献した人間が多額の報酬を得るのは当然だからである。むしろイチローのような超一流のスポーツ選手がアメリカで破格の報酬を得たりすると、多くの日本人は誇らしく感じるのではないだろうか。

 では、企業のような集団のメンバー、すなわち役員や会社員などの場合はどうだろうか。これは自営業ほど明確ではないが、やはり企業などが生み出した利益に対する貢献度から判断されるということでは変わりない。課長、部長、社長といった社内における地位や責任の重さ、営業成績などから会社の利益に対する貢献度が査定され、報酬が決定されるわけである。

 公務員の場合は、国や地方は直接金銭的な利益を生むわけではないが、民間企業に準じて、地位と責任の重さ、および国や地方に対する貢献度を吟味(ぎんみ)され給与が支払われる。しかし、政治家ともなると、その貢献度は民間企業の社長なみに明白といえるのではないだろうか。たとえば、シンガポールという国は資源のないアジアの小国であるにもかかわらず、国民はきわめて豊かである。東南アジアのほかの国に見られるような貧困層がなく、ほとんどの国民が幸福な生活を享受(きょうじゅ)している。これは奇跡的なことといっていいだろう。その第一の原因は、とりもなおさず国家の指導者が、少なくとも経済的な国家運営において傑出しているからといっていい。この国の首相や大臣の給与がきわめて高いのは、民間企業の経営者に比べて収入が低すぎると人材が集まらないからということだが、「ある人間の仕事による収入は、生み出した利益に対する貢献度によって決まる」ということからすれば、決して高すぎる報酬とはいえないだろう。わずか470万人の国民といっても、社員と家族470万人の会社の社長に対する正当な報酬というようにも考えられる。彼らの国家・国民に対する「貢献度」はきわめて高いのだから。

 では、これに対して、たとえば人口がシンガポールの数十倍ある超大国のアメリカの場合はどうか。世界最大の国家の大統領の年俸が、シンガポールの首相の数分の一しかないという事実はどのように考えればいいのだろうか。まず、指摘しておくべきことは、近年までアメリカの大統領には、原則として金持でなければなれなかったということ。なにしろ大統領の選挙には莫大な費用がかかるわけだから、それらをすべて寄付などで(まかな)うわけにはいかず、自己資金が不可欠だったからである。すなわち大統領の報酬などアテにする人間は、そもそも大統領にはなれなかったといえよう。それでも近年は金持とはいえない人物も大統領になってはいるが、彼らは引退後に回顧録でも書けば出版社から巨額の契約金がもらえるし、講演をすれば一回につき1000万円もの講演料が入る。日本の「元首相」などと違って引退後の莫大(ばくだい)な収入が期待できるのである。

 それでもよく考えてみれば、アメリカ大統領の年俸が、タイガー・ウッズなど、超一流スポーツ選手の年収の1%にも満たないというのは異常なことではないだろうか。アメリカ大統領というのは、昔のローマ皇帝に近いほどの重大な影響力を世界に対して持っている。その政策いかんで、アメリカや世界の経済、世界の平和が大きく左右され、人類の幸福に対して最も大きな影響を与える人物である。その仕事の重大性からすれば、年俸100億円でも高すぎるとはいえないだろう。また、それぐらいの年俸を取るくらいの能力がある人物でなければ大統領になってはいけないともいえる。年俸100億円でも、たかが企業のトップにすぎなかったビル・ゲイツよりはるかに「貧しい」のだから(もちろんビル・ゲイツは傑出した経営者ではあるが)。

 では、日本の首相はどうだろうか。国家の規模や経済力、世界に与える影響力等からすれば、アメリカ大統領の100億円はともかく、10億円ぐらいの年俸は受け取るべきだし、また、それくらいの能力がない人間は日本の総理になってはいけないともいえよう。しかし、最近の首相というのは、日本という会社の社長にふさわしいどころか、頭のおかしな課長(鳩山由紀夫)や愚鈍な係長(菅直人)のような人物である(裏には、やたらと会社の経営に口を出してきた総会屋〔小沢一郎〕のような人間もいる)。高額の報酬を与えるどころか、むしろ罰金を取りたいような人間ばかりだが、その前の自民党の首相たちだってひどいものだった。

 近年の日本の首相で、まともな経済政策をしたのは小渕恵三ぐらいのもの。小泉純一郎は公共事業をメチャクチャに減らす「狂気の経済政策」で日本経済をどん底に陥れた。その政策を愚かなマスコミが支持した結果、失業者、自殺者、会社の倒産で絶望するような人たちが激増し、若者たちから希望を奪い、何百万人の国民を不幸にし、巨額の財政赤字を生み出して「日本沈没」への道筋を作ったのである。まさに「大罪」である。その後、リーマンショックで日本経済がさらに急降下した結果、麻生太郎はさすがにある程度まともな経済政策へと(かじ)を切ろうとしたが、長年の不況にたまりかねていた国民は、「(おぼ)れる者ワラをもつかむ」ということで民主党を選んでしまったのである。しかし、国民にとっての不幸は、民主党が本当に“ワラ”にすぎなかったということだろう。自民党の「狂気の経済政策」から「超狂気の経済政策」へと移行してしまったのだから。

 今、もしまともな経済政策を行って日本経済を救える人物がいたとしたら、長期的にみれば何百兆円もの利益を国にもたらす。仮に傑出した経済運営を行えば、一千兆円を軽く越える利益になるだろう。その場合、その首相に「一兆円のボーナス」を与えたとしても高くはない。したがって、そうした人物に対しては、国民全員が次のようにお願いしなければならない。

「ぜひ日本の首相になって日本経済を救ってください。その代わり10億円の年俸をさしあげます。あなたの日本の国家と国民に対する『貢献度』からすれば微々たる報酬ですが」


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